2024/5/28 2024/6/4
マイルストーンを設けて適切にプロジェクト管理|無料テンプレートも紹介
プロジェクトを計画し管理していくうえでマイルストーンの設定は欠かせません。「マイルストーンはどのように設定していますか?」「つぎのマイルストーンまで何日くらいありますか?」といった言葉を耳にしたことがあるビジネスマンは多いのではないでしょうか。マイルストーンとスケジュールの違いがわからない、知っているつもりだったけど、実はよくわからないという人も多いと思います。
この記事では、マイルストーンの正しい理解と設定する重要性を詳しく解説します。また便利なマイルストーン付きのプロジェクト管理テンプレートや専用ツールも合わせて紹介するので参考してください。
目次
マイルストーンとは?
マイルストーンとは、ビジネスにおいて中間目標地点という意味があり、プロジェクトの工程管理で重要な区切りになる箇所のことです。マイルストーンを設定し管理することによって、プロジェクトの進行具合を把握することができます。今のままの作業のペースでいいのか、ペースを変える必要があるのかなどの判断が可能となり、仮に遅延しそうな工程が発覚した場合でも、作業工程を見直すなど柔軟な対応ができるようになります。
マイルストーンはプロジェクトの中間目標
マイルストーン(milestone)は、マイル(距離)とストーン(石)を語源とした言葉です。ローマ帝国が主要な街道に1000歩ごとに標識として設置したのが始まりとされています。ビジネスでは、プロジェクト全体の進捗を明確にするための目標の中間地点や節目に設定するポイント地点のことを差します。ビジネスを進める道のり(マイル)における次の計測地点(ストーン)はいつなのか、ということを示すのがいわゆるマイルストーンです。
特に長期にわたるプロジェクトの場合、長いゴールだけを見据えてのマネジメントには限界がありますが、中間地点に目標があることで具体的かつ効率の良いスケジュール管理を行うことができます。マイルストーンを設定することで、各マイルストーンまでに必要な時間とリソースを算出できるだけでなく、現実的で具体的なスケジュールを立てることが可能となります。
マイルストーンはなぜ重要か
マイルストーンを設定することは、プロジェクトを遂行するために非常に重要です。なぜなら、マイルストーンはプロジェクトにとっての「道しるべ」であり、メンバー全員が進捗状況を見て業務の優先度を判断できるようになるからです。特にゴールまでの道のりが長いと、先が見えにくくチームが中だるみのような状態になりやすく、メンバーのモチベーションを保つことが難しくなります。
マイルストーンを設定し目指すべき中間地点を共有することで、向かうべき目標が近くになるため、チーム内のモチベーションを保ちやすくなります。次のマイルストーンまでという期日に対する意識を持てるようになり、結果作業の遅延を防いだり、業務効率の向上にもつながります。このことからマイルストーンの設定は、プロジェクトの成功に不可欠であることがわかります。
マイルストーンを設定するメリット
複数のメンバーやチームが集まってプロジェクトに参加した際に、「誰がどこまで、何をやったかわからない」「次に何をやればいいのかピンとこない」と戸惑った経験がある方も多いのではないでしょうか?マイルストーンを設定することで、プロジェクトの工程に区切りができ、進捗の状況も明確になるため、自分たちが今どこの位置にいて、次の工程は何かをメンバー全員で確認することができ、やるべきことがはっきりします。
ここでは、プロジェクトの管理においてマイルストーンを設定するメリットを具体的に解説します。
プロジェクト短期目標の明確化ができる
まずはマイルストーンを設定することで短期の目標が明確になります。プロジェクトが長期的で完遂までの過程が長い場合、短期目標としてのマイルストーンを設定することはより効果的です。長期にわたるプロジェクトの場合、工程もほぼ間違いなく複雑になります。今自分が携わっている業務は、何のためにやっているのか?いつまでこの作業を続ければいいのか?緊張感がうすれ、知らぬ間にモチベーションが下がってしまい、ゴールを見失ってしまう人が出てくるというリスクも伴います。
スタートとゴールだけでの設定では全体像が見えづらく、プロジェクトが計画通りに進んでいるのかわかりづらくなります。プロジェクトの節目ごとに短期の目標を立てることにより、今何を、いつまでにやる必要があるのかが明らかになり、メンバーの安心感と効率アップにもつながります。
節目ごとの進捗管理が可能になる
マイルストーンを設定することで、節目ごとの目標が明らかになり、進捗管理が行いやすくなります。仮にトラブルや遅延が発生しても、すぐに気づくことができれば対応も素早くできます。節目ごとにマイルストーンを設定することによって、各メンバーが常に目先にゴールが見えるため、各々が今やるべきことが明確になり、作業効率も向上しプロジェクト自体の成功率も高まります。
チーム内で目標を共有できる
マイルストーンを設定することにより、節目ごとにやるべきことが明瞭となり、チーム内で目標を共有することができるようになります。結果、メンバーの責任の範囲や役割がはっきりし、共通認識が芽生えプロジェクトの管理がスムーズになります。またメンバーの意思統一やチームワークの向上にもつながります。
スモールステップによる達成感を味わえる
マイルストーンを設定することで、節目ごとに立てた目の前の目標を常に達成していくことができます。頑張れば手が届く目標に常にチャレンジするいわゆるスモールステップによって、メンバーはその都度確実な達成感を得ることができます。常に小さな目標達成という成功体験を積み重ねることができるため、モチベーションの維持にも効果を発揮します。
また設定したマイルストーンに無事到達し成果を確認できたら、メンバー全員で認識し、褒め合い励まし合うことも必要です。長いプロジェクト全体を成功に導くためには、メンバーのモチベーションを高めて維持させることは極めて重要です。
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マイルストーン設定のステップ
ここでは、マイルストーンを設定するステップについて解説します。
- WBSを作成する
- WBSをもとにガントチャートを作成する
- マイルストーンを設定し、期限を設ける
- タスクの優先順位をつけ、担当者を割り振る
WBSを作成する
まずはWBSを作成します。プロジェクト管理の方法として、まずWBSが必要であり、それを基に作成したガントチャート上にマイルストーンを設定します。WBSとは、プロジェクト全体を細分化した作業に分解した構成図のことです。わかりやすく言えば、やらなくてはいけない作業を整理して表にまとめたものです。プロジェクトに必要な作業を細かく分解し、計画を立て表にまとめて管理していくことによって、プロジェクトの最終目標までのプロセスを明確にすることができます。
WBSを作成する際に注意すべきポイントは、プロジェクトが完了するまでの全タスクを抜け漏れがないように洗い出すことです。プロジェクトがスタートする前にプロジェクト内で発生するタスクをすべて抽出することにより、プロジェクト全体のボリュームを把握でき、プロジェクトを効率的に管理することができます。
WBSをもとにガントチャートを作成する
次に完成したWBSを基にガントチャートを作成します。ガントチャートとは、さまざまなプロジェクトやプログラムに使用され、スケジュールや作業の進捗の共有・可視化を目的として使われる工程管理表のことを指します。
WBSの各タスクを縦軸に記入している表に、日付時間を横軸にし、作業の開始日と終了日を棒グラフで表示したものがガントチャートです。ガントチャートは、プロジェクト内のすべてのタスクを見える化したもので、各タスクの担当者の役割分担や、作業の進捗状況が明らかになります。プロジェクトを構成するタスクを洗い出し構造化したWBSによりタスク同士の関連性を把握し、タスクごとのスケジュール確認、いわゆるプロジェクトの進捗状況を可視化することが ガントチャートにより可能になります。
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マイルストーンを設定し、期限を設ける
WBSを基に作成したガントチャート上にマイルストーンを設定します。ガントチャートとマイルストーンのタイミングとコンテンツを表示させ追いかけていくことで、工程ごとにやるべきことが明確になります。必要に応じてスケジュールやタイミングを修正し、常に見直しながら進めていきます。
設定したマイルストーンに沿ってそれぞれに期限を設けます。プロジェクトが予定通りに進行しない場合も想定し、期限は余裕をもって設定することがポイントです。またマイルストーンは可視化しやすい形で作成することが大切です。これは予定通りにフェーズが進んでいるか、あるいは修正・変更をしなければならないのかが一目でわかる必要があるためです。
マイルストーンの設定時には定期的に達成の度合いを確認できるよう、適度な間隔で期限を設定することもポイントです。これは短すぎても管理の手間が増えるだけで、長すぎても目標が遠く適切な進捗把握が難しいためです。設定の際には要件定義やリリースといった節目を目安にすすめましょう。
タスクの優先順位をつけ、担当者を割り振る
タスクに優先順位をつけ、担当者を割り振ります。タスクが停滞することにより、他のタスクひいてはプロジェクト全体に影響を及ぼす度合いを基準にタスクに優先順位をつけます。
タスクに優先順位をつけた後は、タスクの粒度や優先順位をもとに担当者を割り振ります。タスクごとに担当者を決めることは特に重要です。適切なメンバーを担当者として指名することで、指名されたメンバーは、それぞれ自分の役割と責任を自覚し業務に取り組むようになります。
マイルストーンが設定できるテンプレートを紹介
本項ではマイルストーンが設定できて、プロジェクト管理におすすめのテンプレートを紹介します。
マイルストーン付きプロジェクト タイムライン
- Microsoft社が提供する無料テンプレート
- マイルストーンを入力するとタイムラインに自動で反映される
- カスタマイズして運用が可能
このテンプレートではマイルストーンをリストで作成することでタイムライン上に自動反映が可能です。タイムラインに反映されることで視覚的にマイルストーンを把握でき、プロジェクト管理が行いやすくなります。
シンプルなデザインであるため作成が容易で、素早く作成してメンバーへ共有することも可能で、自分の使いやすさや担当するプロジェクトに合わせてカスタマイズして運用できるのも大きなポイントです。
マイルストーンとタスク プロジェクトのタイムライン
- タスクをごとの管理を同時に行える
- ガントチャートの作成も並行して可能
- タスクの依存関係を把握でき、タスクの管理に役立つ
このテンプレートではタスクごとの日程をベースとして作成ができ、タスクごとの依存関係の把握にも最適です。プロジェクト全体のタスクをガントチャートで可視化しながらマイルストーンの設定が行えるので進捗管理をこのテンプレートで完結できる点が優れています。
このテンプレートもシンプルでカスタマイズ性が高く、散布図や画像を用いて共有することが可能です。
シンプル ガント チャート
- ガントチャート形式のプロジェクト管理テンプレート
- フェーズごとにマイルストーンを設定できる
- タスクごとの達成率も把握できる
このテンプレートはエクセルの標準的なガントチャートを作成できるテンプレートで、プロジェクトの中でフェーズを作成し、そのフェーズをマイルストーンとして設定して運用可能です。タスクごとにスケジュールや依存関係を確認できるのはもちろんですが、担当者や進捗率を同時に管理できるため初めてのプロジェクト管理でおすすめです。
プロジェクトのタイムライン テンプレート
- 誰でも利用できるGoogleスプレッドシートのテンプレート
- フェーズごとにマイルストーンを設定できる
- ガントチャート形式でプロジェクト管理が可能
このテンプレートはスプレッドシートで運用できるためGmailアカウントさえあれば誰でも作成、利用ができるのが特徴です。エクセルとは異なり複数人で同時に編集ができるためリアルタイムでの共有が可能な点も優秀で、細かく進捗が変わるようなプロジェクトでは特におすすめです。
同時に編集ができるためデータの上書きや復元には気をつける必要がありますがGoogleスプレッドシートの運用ができる方であれば問題なく扱えます。また、データはクラウド上にあるため、オフラインでは編集できない点に注意が必要です。
ガントチャート テンプレート
- 誰でも利用できるGoogleスプレッドシートのテンプレート
- タスクごとに詳細な管理が可能
- ガントチャート形式でプロジェクト管理が可能
このテンプレートもスプレッドシートで管理ができるので上記同様に誰でも利用できる点が利点です。この記事で紹介しているようなWBS、ガントチャートの延長線としてマイルストーンの設定ができるので初心者でも扱いやすく色分けによる見やすさという点で優れます。
スプレッドシートでの運用のため関数やマクロ、スクリプトの知識があればより専門的にカスタマイズが可能なため、自分の使いやすさやプロジェクトごとにカスタマイズして運用してください。
スプレッドシートのテンプレートはダウンロード不要で使用できます。スプレッドシートのトップページから「新しいスプレッドシートを作成」を選択肢、用意されているテンプレートギャラリーから選択して使用してください。
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マイルストーン設定時の注意点
プロジェクト管理においてマイルストーンを設定する際に気を付けるべき点をここで紹介します。マイルストーン設定時の注意点は以下の4点です。
実現可能なスケジュールで作成する
マイルストーンを設定する際に注意すべきことの1点目は、実現可能なスケジュールで作成するということです。常にタイトで厳しいスケジュールで業務を行っていくと、トラブルや不可抗力的なことが発生した際にプロジェクトが遅れる原因になります。
実現不可能なスケジュールでのプロジェクト管理は納期遅延やメンバーの疲労、モチベーションの低下につながる可能性もあるため、余裕をもったスケジューリングを行うことが必要です。関係しているメンバーと話し合いながら、作業時間や役割分担を決め、計画通りに進められる現実的なスケジュールを立てましょう。
また、マイルストーンはあまり多く設定しすぎないことも大事なポイントです。あまり設定自体を多くしすぎると進捗状況がわかりにくくなり、管理が行き届かなくなる場合があります。プロジェクトに必要なマイルストーンはプロジェクトごとに異なります。目標達成までにどの部分が重要であるかにより設定するポイントも変わります。適正なマイルストーンの数を適切な場所に設定することが大切です。
成果物や期限など具体的な目標を設定する
マイルストーンを設定する際に注意すべきことの2点目は、成果物や期限など具体的な目標を設定することです。マイルストーンの設定ではただ単に期間を分けるのではなく成果物などの目標を節目として設定することが大切です。
例えばシステム開発におけるマイルストーンの設置例として、企画立案や要件定義、実装テスト、リリース(ローンチ)などが具体的な目標として挙げられます。これらをフェーズとして捉え、この各フェーズが終わるタイミングにマイルストーンを設定します。それぞれの目標に到達し、成果物を得るために必要な期間はどれくらい必要かを入念に検討しましょう。
しかしこれだけでは問題が発生した際のリカバリーが遅れてしまうため、マイルストーンがフェーズごとだけにならないように工夫する必要があります。そこで下記のような考え方も重要です。
フェーズを更に分解して設定する
機能A・B・Cのように機能単位で区切ったり、アジャイル開発で用いられているイテレーションという一定の期間を設定し、2週間~1か月などの単位でマイルストーンを設定して開発を進めるなど、チームの開発スタイルに合う方法で設定することも必要です。
イベントに設定する
顧客との打ち合わせや開発製品のデモ、レビューやステークホルダーへの報告など、イベント的な要素に対するマイルストーンを設定することで、チームメンバーのスケジュールに対する責任感が増し目標に向かいやすくなります。チームのメンバーがプロジェクトの全容、流れを可視化できるだけでなく、クライアントや顧客、ステークホルダーへ報告する際も同様の効果があります。
定期的に進捗を確認して調整をする
マイルストーンを設定する際に注意すべきことの3点目は、定期的に進捗を確認して調整をすることです。定期的に進捗を確認する場を設けて調整をすることは、プロジェクトを成功させるためにも欠かせません。これはマイルストーンの管理が目的ではなくプロジェクトがスムーズに進行することが目的だからです。
常にぎりぎりのスケジュールでメンバーに疲労がたまり、心の余裕が失われていないか等、定期的な進捗確認の際にチェックし、必要に応じてスケジュールを変更したり調整することも必要です。
プロジェクトの期間に合わせて適切に設定する
マイルストーンを設定する際に注意すべきことの最後4点目は、プロジェクトの期間に合わせて適切に設定することです。マイルストーンの設定が細かすぎると軌道修正が難しくなり進捗状況が把握しづらくなります。また逆に粗すぎても管理がしにくく、何かあった時の対応が後手に回ってしまうケースも発生します。そのためマイルストーンはプロジェクトの期間に合わせて適切に設定しましよう。
プロジェクト管理には専用ツールの導入もおすすめ
マイルストーンとは、プロジェクトの完遂までに必要な区切りや中間目標のことです。マイルストーンを設定することで、次の目標や工程が明確になり進捗の管理が容易になります。また常に小さな目標達成、成功体験を積み重ねることで、メンバーのモチベーションの維持や目標達成に向けての意思統一にもつながり、チームワークも向上します。
マイルストーンはテンプレートを使えば管理も簡単にできます。しかしExcelやpowerpointなどの無料テンプレートは更新する際にファイルを開いたりその都度メールに添付して共有するなど手間がかかるといったデメリットもあります。
現在はさまざまなプロジェクト管理ツールが普及しています。プロジェクト管理ツールを使用すると、WBSやガントチャートはもちろん、簡単にマイルストーンを設定し管理することができます。さらにこれら専門ツールではプロジェクトの進行中に遅延やトラブルが発生した場合のタイムラインの変更も簡単に行えます。リアルタイムで情報の共有も可能なため、メンバーが多いプロジェクトの場合にも便利です。作業の効率を上げ、よりタイムリーなプロジェクト管理を行いたい人にはプロジェクト管理ツールの利用をおすすめします。
プロカンでは案件ごとの収支管理まで可能としてプロジェクト管理システムを提供しています。担当者が直感的に操作しやすく、幅広い業務領域をカバーしているため運用も容易です。まずは資料請求やデモンストレーション依頼からプロカンについて詳しく知ってください。我々があなたたちの業務効率化のサポートをいたします。