
2023/11/10
【DL可能】エクセルを使って予実管理表を作成!無料テンプレートも併せて紹介
経営活動の目標を達成するために、予算に対しての実績を比較・分析して管理する業務の予実管理。新たなソフトを導入せず、エクセルを使って予実管理をしたい人も少なくありません。コストを抑えるためには、エクセルで使える予実管理のテンプレートを無料でダウンロードするのがベストでしょう。
本記事では、予実管理表作成におすすめの無料テンプレートを10種類ピックアップしました。あわせて、予実管理をエクセルで行うメリットやエクセルで予実管理表を作成する手順、予実管理を成功させるコツについても解説します。自社に合った効率的な予実管理の方法を探している人は、ぜひ最後まで読んでみてください。
目次
予実管理をエクセルで行うメリット
予実管理をエクセルで行うメリットを紹介します。そもそもエクセルを利用するか悩んでいる人は、自社のメリットになるか確認してみましょう。
導入コストを最小限に抑えられる
エクセルで予実管理を行えば、導入コストを最小限に抑えられるメリットがあります。多くの企業は、議事録・請求書の作成など、予実管理とは別の業務ですでにエクセルを使用しているでしょう。エクセルがインストールされていれば、新たにソフトを導入する必要がありません。
予実管理のソフトは月額5,000〜50,000円程度と、相場が幅広い傾向があります。一方でエクセルは新たに導入したとしても、買い切り型であれば3〜7万円程度でずっと使い続けられますし、サブスク型であっても月額900〜1,360円程度と安価です。他の業務で使うには機能が少ない予算管理のソフトに対し、エクセルは幅広い用途があるのも魅力でしょう。
システム導入にコストをかけたくない企業や、事業スタート時におすすめです。
多くの社員が操作に慣れており、導入のハードルが低い
エクセルは学校で使い方を教わるほど、ポピュラーなビジネスツールです。多くの企業で使われていることからすでに社員も操作や関数に慣れており、導入のハードルが低い魅力があります。新たに教育の場を設ける必要がないので、研修に関するコストも抑えられるでしょう。わからない部分が出てきても、周りの人が答えを知っていたり、検索するだけで解決策が出てきたりするのも嬉しいポイントです。
操作がわかりにくい予算管理システムを導入すると、従業員へ特別な研修を用意する必要があります。専門的な業務になってしまうため、担当者が異動・離職などでいなくなると業務が滞ることも考えられるでしょう。
スムーズに従業員へ浸透させられるのは、操作がわかりやすいエクセルならではのメリットです。
マクロやVBAを使えば自動化できる
エクセルは、マクロやVBAを使って業務を一部自動化できるメリットがあります。マクロとは作業を記録して自動化できる機能で、VBAはエクセルをはじめとするOffice製品のアプリケーションの処理や制御ができるプログラミング言語です。
予実管理を自動化できれば、担当者が変わっても複雑な計算やデータの分析を正確に行えるようになります。さらに業務を自動化することで、従業員の業務効率が改善するので、生産性も高くなるでしょう。
自社に合わせてカスタマイズできる
自社に合わせてカスタマイズできる自由度の高さは、エクセルの大きな魅力です。レイアウトや計算方法、入力する情報、マクロなど自社で自由に決められます。自社のニーズに合わせた予実管理表を作れるので、現場の社員にとって使いやすいでしょう。編集も柔軟に行えるため、変更への対応もスムーズです。
予実管理システムを使うと、自社には不必要な機能があることも珍しくありません。また、自社に合わせてカスタマイズするのに、手間がかかることもあるでしょう。
エクセルなら、テンプレートをベースに予実管理表を作れば、簡単に自社好みにできます。テンプレートは豊富なので、自社に合うものを選びましょう。
エクセルを利用した予実管理表の作成手順
エクセルを利用した予実管理表は、以下の手順で作成します。
1.必要な項目を選定、入力する
2.実際の数値を入力する
3.数式を入力する
4.定期的に改善する
各手順についてくわしく解説するので、作成する前に確認してください。
必要な項目を選定、入力する
エクセルを利用して予実管理表を作成する際は、まず必要な項目を準備します。具体的には、以下のような項目が縦軸に入力されるので、ぜひ参考にしてください。
・売上高
・売上原価
・売上総利益
・人件費
・外注費
・経費(通信費・水道光熱費・消耗品費・租税公課など)
・営業利益
・営業外収益
・営業外費用
・販売費計
・経常利益
企業によっては、人件費を「給与手当・福利厚生費・旅費交通費」、経費を「通信費・水道光熱費・消耗品費・租税公課」のように、細かく設定する場合もあります。詳細に分けるかシンプルにするか、自社に合わせて項目を選びましょう。
なお、横軸には「当月発生・当月予算・差額・予算比」の4項目を入力してください。
0から必要な項目を準備・選定するのは手間がかかるため、後述するテンプレートをもとにして項目を追加するのがおすすめです。
実際の数値を入力する
予実管理表の項目を用意できたら、実際に数値を入力してみましょう。入力する数値は、予算の基準になります。直近のデータを使ったほうが予実管理の精度は高くなるので、スムーズに入力できる管理体制にするのがおすすめです。
なお、手動で入力するとミスや漏れが発生しやすいので、気をつけてください。自動計算を活用すると、ヒューマンエラーを防げます。
数式を入力する
実際の数値を入力完了したら、各セルに以下の数式を入力しましょう。
差額:当月発生-予算
予算比:当月発生÷予算×100
売上総利益:売上高-売上原価
営業利益:売上総利益-販売費計
経常利益:営業利益+営業外利益-営業外費用」
数式を利用したら、各項目が自動で計算されて便利です。
なお、以下の関数は基本的なものではありますが、予実管理表でもよく使われるので、あわせて紹介します。
IF関数:=IF (論理式, 真の場合, 偽の場合):仮定した条件を満たしているか、満たしていないかを判断できる
SUMIF関数:=SUMIF(範囲, 検索条件, 合計範囲):条件に合った値のみ合計できる
SUMIFS関数:=SUMIFS(合計対象範囲, 条件範囲1, 条件1, 条件範囲2, 条件2,…):複数の条件に合った値を合計できる
SUMPRODUCT関数:SUMPRODUCT( 範囲1, 範囲2, 範囲3, …):掛け算した値を合計できる
AVERAGE関数:=AVERAGE(範囲):平均値を求められる
COUNT関数:=COUNT(範囲):セルや数値の個数を数えられる
VLOOKUP関数:=VLOOKUP(検索値, 範囲, 列番号, 検索の型):縦方向に表の中を検索し、条件に一致する値を取り出せる
ROUND関数:=ROUND(数値, 桁数):四捨五入して指定した桁数にできる
カスタマイズする際は、ぜひ参考にしてください。
予実管理表作成におすすめの無料テンプレート10選
エクセルで使える予実管理表の無料テンプレートは、さまざまな企業が作成しています。本記事では、おすすめの無料テンプレートを10種類ピックアップしました。それぞれ特徴や魅力が異なるので、自社に合うものを比較・検討してください。
なお、予実管理は予算管理と同様、経営管理のひとつに該当します。大きな違いはないので、予実管理表として使える予算管理表もあわせて紹介します。
1.マイクロソフトのテンプレート
エクセルの開発・販売元であるマイクロソフトから、予実管理表のテンプレートが無料で公開されています。マイクロソフトから直接ダウンロードできるので、信頼性が高いのが嬉しいポイントです。個人用から法人向けのテンプレートまであるので、企業規模に合わせて最適なタイプを選べます。全体的に色や表記もパッと見てわかりやすいことから、データを確認しやすいでしょう。
シンプルな構成なので、カスタマイズしやすい点が魅力です。保護されているセルがなく、表や文字の色から項目の追加まで、柔軟に編集できます。
特に「経費予算」は、経費をカテゴリ別に分類できて整理しやすい特徴があるテンプレートです。合計額や差額の計算式も、すでに入力されています。「毎月の企業の収支」というテンプレートは、計算式だけでなくグラフもすでに設定されています。比較しやすいようにシートが作られているので、ダウンロードしたらすぐに使えるでしょう。
2.テンプレートBANKのテンプレート
テンプレートBANKでは、ビジネスで使えるさまざまな素材やテンプレートを提供しています。他とは異なるテンプレートBANKの魅力は、種類の豊富さです。月別予算達成率グラフがついているものや、年間予算達成率グラフがついているテンプレートがあります。さらに、期の始めが1月・4月・10月の3種類から選べるので、該当する場合は編集する手間が少なくなるでしょう。
いずれの種類も月別に予算達成状況を確認でき、さらにグラフがついているため、分析しやすいのが魅力です。
なお、利用する際は、テンプレートBANKへの新規会員登録が必要になります。有料テンプレート以外は無料で利用できるため、ぜひ会員登録してみてください。
※テンプレートBANK
3.経理プラスのテンプレート
株式会社ラクスが運営する経理プラスでも、予実管理表のテンプレートを無料で提供しています。一般的な予実管理表をバージョンアップする目的で作られているため、管理項目が非常に細かく設定されているのが魅力です。売上高・原価・粗利益・販管費と分かれており、販管費も役員報酬・給与手当・決済手数料・アフィリエイト広告費・ソフトウエア償却費・地代家賃などで構成されているので、詳細なデータで管理できます。
既存の予実管理表がシンプルすぎて使いづらい人や、項目が少なくて困っている人は、経理プラスのテンプレートが使いやすいでしょう。作り方や使い方の解説はないことから、初心者の人よりもすでに予実管理を理解できている人におすすめです。
4.みんエクのテンプレート
株式会社イー・トラックス運営のみんエクとは、アンケートに答えればさまざまなエクセルのテンプレートをダウンロードできる、会員登録不要のサイトです。みんエクの無料テンプレートは、シンプルで使いやすい特徴があります。グラフなどはありませんが、月ごとの経常損益・特別損益を管理できる設定です。基本的な必要項目は常に入力されているので、自社独自の項目を追記するだけでそのまま使えます。
なお、みんエクのテンプレートは4月始まりの1種類のみです。印刷する際は、印刷範囲を指定して使用する必要があります。
シンプルなデザインでありながら、細かい項目があって使いやすい予実管理表を求めている人はぜひダウンロードしてみてください。
5.bizocean書式テンプレのテンプレート
国内最大級のテンプレート数を誇るbizocean書式テンプレは、21種類の無料テンプレートから自社に合ったものを選べます。無料テンプレートは、目標と売上金額のみのシンプルなものから、当月達成率や累積達成率を算出できるものまでさまざまです。汎用性の高いテンプレートだけでなく、以下の業界に特化した予実管理表もあります。
・建設業
・製造業
・物流業
・不動産業
・飲食店
・美容・エステ
・小売業
業界ならではの管理項目がある企業は、bizocean書式テンプレが使いやすいでしょう。使い方もテンプレート内に説明があるので、初心者の人にもおすすめです。ダウンロード時点でマクロが設定されていることから、業効率の改善も容易でしょう。
ダウンロードするには会員登録が必要なので、気になる人はぜひチェックしてみてください。
6.マーキャリMediaテンプレート
マーキャリMediaは、株式会社エムエム総研が運営するサイトで、予実管理表を1種類提供しています。シンプルなデザインなので、導入しやすいのが大きな特徴です。月次項目に予算と実績を入力すれば、年度全体の予算をチェックできます。予算の項目が2つあるため、事業全体の予実管理でも使いやすいでしょう。
なお、全体予算の予実管理表は1種類のみですが、マーケティング用・イベント用の予実管理表も1つずつあります。
気になる人は、無料会員登録をしてダウンロードしてみてください。
7.登録不要のフリーテンプレートのテンプレート
登録不要のフリーテンプレートは名前の通り、会員登録をせずに無料でテンプレートをダウンロードできるサイトです。セキュリティ対策ソフト動作環境下で作成されているので、作成元不明でも安心して利用できるでしょう。登録不要のフリーテンプレートには、3ヶ月表示の予実管理表と、前年比データを追加した2ヶ月表示の2種類が用意されています。1ヶ月分の列をコピーして枠を増やせば、年間表示も可能です。
予算・実績・前年比などが一覧になっており、一目で経営状況を確認できます。関数と計算式が入力されているため、データを入力したら自動で算出してくれるのも魅力です。項目も、売上高・売上原価・売上総利益・販売費・営業利益といった一般的なものから、会議費・通信費・図書費などの細かい部分まで用意されています。
8.フリーテンプレートのテンプレート
フリーテンプレートは、会員登録なしでダウンロードできるサイトです。予実管理表のテンプレートは、非常にシンプルな設計のものが1種類あります。売上予算・売上高・達成率・売上原価・売上総利益の項目があるだけで、詳細な管理項目はありません。達成率と売上総利益のみ計算式が記載されていますが、他の式や関数も未入力です。
そのため初心者には向いていませんが、自社に適した形で柔軟にカスタマイズしたい人におすすめです。できる限りシンプルなテンプレートを探している場合、ぜひダウンロードしてみてください。
9.株式会社才流(サイル)のテンプレート
株式会社才流(サイル)は、BtoBマーケティング・インサイドセールス・法人営業・新規事業などを支援している企業です。営業の予実管理を効率化するテンプレートを無料で提供しており、会員登録不要でダウンロードできます。
株式会社才流(サイル)のテンプレートは、商談途中の案件を「受注で見込める金額・受注の時期・受注の確度」の3種類に分類できるので、全体目標に対する予算や実績を定量的にチェックできるのが魅力です。使用すると、営業の進捗管理が楽になったり、高い精度で売上予測をできたりするメリットがあります。失敗の原因や傾向も明確化できるため、将来的な売上・満足度の向上にも繋げられるでしょう。
効果的な使い方も解説されていることから、初心者の人でも使いやすいといえます。営業の予実管理に特化しているものを探している人は、ぜひダウンロードしてみてください。
10.経営ノウハウの泉のテンプレート
オフィス家具メーカーのコクヨがが運営する、中小企業向けの情報サイトである経営ノウハウの泉でも、予実管理表の無料テンプレートを提供しています。大手企業が作成しているテンプレートなので、安心して使えるでしょう。
当月発生したデータと予算だけでなく、前年度同月との差額もチェックできるのが魅力です。管理項目の設定は多くありませんが、シンプルな設計なのでカスタマイズで追加しやすくなっています。すでに数式は入力されているので、管理項目を追加したらすぐに使えるでしょう。
メールアドレスを登録すると、ダウンロード用URLを受け取れます。シンプルなテンプレートを使いたい人や前年度との比較も一目でわかるようにしたい人は、ぜひ登録してみてください。
予実管理成功のポイント
予実管理を成功させるためには、ただ表を作成してデータを入力すればよいわけではありません。表を作成してからも、自社に適した使い方をしたり定期的に見直したりすることが重要です。予実管理成功のポイントを解説するので、ぜひ実践してみてください。
適切な予算を設定して分析を行う
予算管理を成功させるためには、適切な予算を設定してから分析しましょう。高すぎず、低すぎない、適切な予算を設定できれば、予実管理表を見て自社の課題をうまく抽出できます。すでに事業を行なっている場合は過去の実績にもとづき、これから開業するケースでは見込み額や競合他社の実績をもとにして、売上・売上原価・販管費・営業外損益の予算を考えましょう。経営側の理想より、現実に即した数字かを重視してください。
予算と実績を比較し、差額が大きいときは原因を洗い出します。原因に応じて対策を考え、適宜実行しましょう。予実管理は課題を見つけ出すのが目的ではないので、経営目標を達成するためにも、分析にもとづいた実行まで必ず行なってください。
会社にあった予実管理の方法を採用する
予実管理の方法を選ぶ際は、必ず自社に合っているか確認しましよう。企業の規模・業種・扱うデータ量によって、適した予実管理表は異なります。
たとえば大企業や扱うデータ量が多い業種や企業の場合、エクセルではフォームや計算式が複雑になり、ミスやトラブルが増えるリスクが高いでしょう。行を挿入してコピー&ペーストすれば項目は簡単に追加できますが、頻発すると手間がかかります。またエクセルは複数人で同時編集するのが難しいので、複数の担当者がタスク管理するのに向いていません。正確に予実管理ができなければ、エクセルを使うメリットがないでしょう。
会社によっては、エクセルより予実管理システムを採用したほうが費用対効果が高い可能性があります。最初はエクセルで問題がなかった企業でも、事業規模が拡大するとともに予実管理システムの導入を検討するのがおすすめです。企業や部署ごとの特徴をチェックし、最適なツールを探してみてください。
定期的に実施・改善する
エクセルで予算管理表を作成したら、定期的にチェックしたり改善したりしましょう。予実管理をする頻度が低いと、予算と実績の差が開いたときに軌道修正するのが難しくなります。差が小さければ、目標から剥離する前に改善策を練られるでしょう。予実管理は最新のデータを使って、できる限り高頻度で行うのがおすすめです。
また、定期的に予実管理表の方法を見直すことも求められます。予実管理表は、作成して終わりではありません。「計画(Plan)」「実行(Do)」「測定・評価(Check)」「対策・改善(Action)」を繰り返すPDCAサイクルや、「観察(Observe)」「状況判断(Orient)」「意思決定(Decide)」「実行(Act)」の4ステップで行うOODAループなどのフレームワークを活用して、予実管理を改善してみましょう。
【まとめ】予実管理表を作成して経営目標達成に歩を進めましょう
エクセルで予実管理をすると、導入コストや従業員への教育コストを抑えられたり、柔軟にカスタマイズできたりするメリットがあります。さらに必要な項目と関数・計算式を入力すれば、自力でも作成が可能です。
現在はさまざまな企業が無料テンプレートを公開しているので、自社にとって使いやすいものを選ぶとスムーズに予実管理表を導入できます。カスタマイズをしたい企業はシンプルなテンプレート、詳細に分析したい企業は管理項目が細かく設定されているもの、すぐに使いたい企業は計算式や関数が入力されたものを選ぶとよいでしょう。ただし、会社の規模や業種によっては、エクセルでは手間がかかるので、予実管理システムの導入も検討するのがおすすめです。
テンプレートをダウンロートしてからも、本記事を参考に適切な予算設定や定期的な改善を重ねて、予実管理をこなしてみてください。