2023/11/24 2024/6/5
Googleスプレッドシートでガントチャートを作成するには?使い方や注意点を解説
近年は、Googleスプレッドシートを用いてガントチャートを作成するのが一般的となっています。しかし、なかには「どのようなメリットやデメリットがあるのかわからない」と感じる人もいるのではないでしょうか。
そこで今回、本記事ではガントチャートの使い方や手順、注意点などについて解説します。この記事を読めば、ガントチャートの理解だけでなく仕事管理に特化した高機能なツールも把握できるので参考にしてください。
目次
ガントチャートの主な機能
スプレッドシートでガントチャートを作成すると、スケジュールの編集や進捗状況の管理、情報が更新された際の通知など、さまざまな機能を利用できます。プロジェクト管理と一口にいっても、それらの機能には細かく設定できる項目がありますが、スプレッドシートをチームで使いこなすことができれば作業効率を大きく向上させることが可能です。
Googleスプレッドシートで作成するガントチャートとは?
Googleスプレッドシートとは
スプレッドシートという名称が、これほど多くの場所で当たり前に使われるようになったのは、Google社が独自の表計算アプリとして発表したからです。その大きな特徴は、シンプルかつクラウド上で利用できる無料アプリという点でしょう。Googleスプレッドシートでガントチャートを作成すると、プロジェクトごとの進捗状況が一目瞭然です。従来よく使われていたエクセル版のガントチャートと比較してどちらが便利なのかは、作業内容や事業規模などで異なりますが、利用できるアプリの選択肢が広がったことは間違いありません。
ガントチャートとは
そもそもガントチャートとは、作業計画を表すときに用いられるグラフのことです。複数のプロジェクトが同時進行で行われている場合、それらを視覚的に表現するのに適した方法といえるでしょう。グラフの縦軸には、作業内容や担当者の名前、横軸には納期などの時間が記されます。
ガントチャートは初めからすべて自社で作る必要はありません。スプレッドシートなどで用意されているさまざまなテンプレートを使えば、ガントチャートを手軽に作成することが可能です。詳しい使い方については下で詳しく解説していきますが、アドオンを利用して機能を追加する方法などもあります。
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スケジュール編集機能
プロジェクト管理を行う際には、予期せぬ事態がつきものです。例えば、想定していたよりも特定の作業に時間がかかったり、感染症や災害などの影響を受けたりすることで計画が狂う可能性もゼロでありません。そうした場合に必要となるのは、状況に応じてスケジュールを編集する機能です。ガントチャートは、ドラッグ&ドロップなどの操作で編集が行えてエクセルやCSVなどのファイルを読み込んで作成することもできます。「遅延などのリスクに備える」という意味でもガントチャートは有益なツールです。
日単位や週単位で進捗状況の管理機能
ガントチャートは、プロジェクトの進捗状況を日単位や週単位で確認することが可能です。日単位のDay chartを選択すると、縦軸に作業内容、横軸にその作業の開始日と終了日が色分けで表示され、管理している複数の作業を視覚的に一目で確認できます。長期プロジェクトを確認したいときには、週単位のWeek chartが便利です。複数のプロジェクトの全体像を簡単に把握できるのは、ガントチャートの大きなメリットといえます。
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4階層のタスク管理機能
長期のプロジェクトを進める場合などは、開始日や終了日の異なる複数のタスクを一元管理しなければなりません。ガントチャートには、以下のような4階層のタスク管理機能がついているのが特徴です。
・1階層:マイルストーン(全体)
・2階層:タスク(親)
・3階層:タスク(子)
・4階層:タスク(子サブ)
中間目標のマイルストーンを縦軸に作成したあと、その下に3つまでタスクを追加できます。この機能を利用することで、例えば「Aというタスクが完了しないとBというタスクが始められない」といった問題が見える化し、全体像の把握がしやすくなります。
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進捗情報の更新通知機能
ガントチャートには、作業の進捗情報が更新された場合、通知してくれる便利な機能があります。具体的な例としては、メンバーの行った作業内容の修正や締め切り日の変更などです。通知機能があれば、こうした重要な更新情報を管理者が見逃してしまうことを防ぐことができます。
また、作業の遅延が起きたときには他のメンバーと情報を共有しながら、遅れているタスクを協力して仕上げなければなりません。そのような場合でも、更新通知機能で進捗状況の確認が早い段階でとれれば、その後のフォローも事前に行うことができます。
ガントチャートが使えるシーン
ガントチャートがどのようなものかは、理解できたでしょうか。ここでは、実際に業務の効率化を図れる3つのシーンについて紹介します。
1.システムやソフトウェア開発の管理
システムやソフトウェアの開発において、プロジェクトを予定通りに終了することは、非常に重要です。こういった商品やサービスには、リリース日があらかじめ決められていることが多く、それに間に合うように一つ一つのタスクを順次終わらせていかなければなりません。そこで活躍するのがガントチャートです。プロジェクトの進捗状況を管理する際、視覚的に一目で状況が確認できるため、重宝します。
スケジュール変更があった場合でも、ガントチャートを見ることで全体像がすぐに把握できるため、都度柔軟な調整が可能です。また、タスク単位を小さくしてスピーディに作業を進めるアジャイル型の開発においても、ガントチャートを活用できます。プロジェクトの確認と変更が適宜行えるため、開発期間の短縮を図りやすい有益なツールとなるでしょう。
2.キャンペーンやイベント運営の管理
キャンペーンやイベントの運営では、開催日を変更すると損害が拡大してしまうケースが多い傾向です。そのため、「別工程は変更できても開催日だけは変えられない」というのが大前提となります。
つまり、開催日を動かさないように複数の異なるタスクをしっかりと終わらせ、なにか変更やトラブルが生じた場合には、早め早めに対応していかなければなりません。
こういったプロジェクトのタスク管理には、タスク漏れがないように全体像を可視化して把握できるガントチャートの利用が適しています。
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3.オンボーディング計画の管理
オンボーディング計画の管理にも、ガントチャートを活用できます。オンボーディングとは、直訳すると「目的地に向けて飛行機や船などに乗っている」といった意味です。ビジネス上では、例えば「新入社員や中途採用者が問題なく組織の一員として働けるように必要な知識を身に付けさせる」「歓迎会などを通して新旧のメンバーの交流を図る」といったことを指します。
オンボーディングは、計画的に進めていくことが重要になるため、教育研修の流れをマニュアル項目ごとにタスク化しておけば管理者だけでなく参加者も自分の進捗状況を確認できます。また、中期的な目標に対して「どのような成果が上がったのか」についてしっかりと管理することで、指導内容をより一層良くするための改善点なども明確になるでしょう。
ガントチャートをスプレッドシートで作成するメリット
本項では、ガントチャートをスプレッドシートを用いて作る場合、どのようなメリットが得られるのか詳細を解説します。
導入にコストがかからない
GoogleスプレッドシートはGoogleアカウントさえあれば誰でも利用できるため、導入時だけでなく継続的なコストもかかりません。カスタマイズの自由度が高いため、使い慣れた人が社内にいれば不便なくプロジェクト管理を行うことも夢ではありません。特に小規模のプロジェクトであれば有料ツールの機能を持て余すことも多く、スプレッドシートのほうがかえって運用しやすくなる場合もあります。
いきなり有料ツールをダウンロード、導入するのではなく、はじめは無料で利用できるGoogleスプレッドシートを利用し、シートでの管理に限界を感じ始めたころにツールの導入を検討するのがおすすめです。
チーム内での共有や編集が容易
Googleスプレッドシートはアクセスできるユーザーの制限が行いやすく、チーム内や社内、社外の一部と限定的な場合でもルールを決めておくことで柔軟に対応できます。スプレッドシートの共有をする際には社外秘のデータを外部の人に見られないように公開範囲を制限するようにしましょう。
また、スプレッドシートは複数人での共同編集が可能です。編集した内容はリアルタイムで更新されるため、プロジェクトの進捗状況をリアルタイムで確認する事が可能で、効率良く業務を進めることができます。
自動保存機能で全員に同期できる
スプレッドシートには自動保存機能があり、都度上書き保存をせずとも編集のたびにデータがクラウド上に蓄積されます。編集した内容が何らかのバグや操作ミスが原因で消えてしまうこともなく、万が一消してしまった場合でも編集履歴から任意の地点の状態に復元することが可能です。
Googleスプレッドシートでガントチャートを作る方法
ここでは、Googleスプレッドシート上でガントチャートを作るための3つの方法について解説します。
1.テンプレートを使う
Googleスプレッドシートでは、ガントチャート用のテンプレートが用意されています。まずは、スプレッドシートを開いて画面右上の「テンプレートギャラリー」をクリックしましょう。機能性やデザイン性に優れた数種類のテンプレートがカテゴリー別にまとめられているため、カテゴリー「プロジェクト管理」から「ガントチャート」をクリックします。
次に、プロジェクト名とプロジェクトマネージャー、プロジェクト進行に必要となるタスクを記入。適切な管理をするためには、ここでタスク担当者や開始日・終了日の入力を済ませてしまい、「誰が担当者で期限はいつまでのタスクなのか」について明確することが大切です。最後に、必要に応じてセルの色を変更して視覚的な見やすさを向上させれば、ガントチャートの運用を始めることができます。
2.アドオンを使う
Googleスプレッドシートには、拡張機能を追加できるアドオンが外部企業から連携、提供されています。ここでは、スケジュール管理に定評のあるアドオン「ProjectSheet planning」を使ってガントチャートを作成してみましょう。まず、スプレッドシードを開いたあとはプロジェクト名を「テストプロジェクト」と入力します。これは、別のプロジェクト名でも問題ありません。あとで分かりやすいような名前にしておきます。
次に、画面左上にある「拡張機能」→「アドオンを取得」の順にクリックし、検索バーに「ProjectSheet planning」を入力。案内に従って「許可」を選べば、「インストールしました」と表示されるため、「完了」をクリックすると運用がスタートします。インストールが終わったあとは、ガントチャートを使っていきましょう。まずは、スプレッドシートの「アドオン」メニューから「Add ProjectSheet」をクリック。そうするとアドオンが読み込まれて、ガントチャートのフォーマットが自動的に作られます。日本語で表示させるには、画面右上の「翻訳」にチェックを入れることが必要です。
そのあとは、プロジェクトの内容に合わせてタスク分けをする必要があります。例えば、イベント管理であれば「企画」「営業」「集客」などのほか、商品ごとの制作スケジュールやスポンサーへの対応などもタスクの一例です。システム開発ならば、「顧客管理」はもちろんリリース日に合わせた「設計」や「プログラミング」などが必要なタスクとなります。これらのタスクをB列の「Task description」に追加入力しましょう。入力後、それぞれのタスクの開始日と終了日を入力すると、自動的にガントチャートのグラフが作られます。
タスクを階層的に表示するには、親要素と子要素の構成を設定することが必要です。「テストプロジェクト」というプロジェクト名が親タスク、そこに付随する「企画」や「設計」などの作業を子タスクとし、B列の子タスクをすべて選択した状態でサイドバー「WBS>」をクリック。子タスクは、インデントが下がって階層ができあがります。
3.新機能タイムラインビューを使う
2022年、Google Workspaceに新機能「タイムラインビュー」が実装されてからは、さらにスプレッドシートが使いやすくなりました。この機能を使うことで、これまでの入力手順を省略して簡易的なガントチャートを作ることが可能です。まずは、スプレッドシートを開いて、タスク管理シートを作成します。基本的な情報として、「タスク名」「担当者」「開始日」「終了日」「進捗状況」のリストを作っておくと便利です。ここで、タスク名などを色分けしておくとそのままガントチャートに反映されます。
次に、リスト範囲を選択した状態で画面左上にある「挿入」をクリックし、「タイムライン」を選択。「タイムラインの作成」が表示されるため、OKをクリックすれば運用が始まり、自動的にガントチャートが作成されます。画面右にある「設定」から、範囲を再指定したりタスク項目を追加したりすることも可能です。ただし、注意すべき点としてタイムラインビューはG Suite旧プランや個人のGoogleアカウントには提供されません。Google Workspaceのユーザーのみが利用可能となります。
ガントチャートをスムーズに使うアレンジ方法
ガントチャートの利用法に慣れてきたら、よりスムーズに使うためのアレンジ方法を試してみましょう。難しい操作は必要ありません。ここでは、これまで2つのアレンジ方法を説明します。
1.任意でセル色を変更する方法
Googleスプレッドシートのテンプレートは、セルが緑色に指定されていますが、そのセルの色を簡単に変更できる機能があります。画面左上にある「表示形式」クリックして、「条件付き書式」を選択し、表示される「カラースケール」から好みの色を選べば作業完了です。
2.簡単に日付入力する方法
「プロジェクトの開始日や終了日などを入力するのが面倒」という人には、カレンダー表示機能が便利です。設定を変更することで、簡単に日付入力ができるようになります。
まずは、画面左上の「データ」をクリックし、「データ入力規則」を選択しましょう。そして、適応させたいセル範囲を選択してから条件の左側を「日付」、右側を「有効な日付」に設定して保存します。
あとは、日付の入力規則が適用されたセルをクリックしてみましょう。カレンダーが表示されるため、日付を選べば入力完了です。
Googleスプレッドシートでプロジェクト管理をする注意点
Googleスプレッドシートでガントチャートを作成すれば、効率的にプロジェクト管理が行えますが、そこには注意点もあります。ここでは、4つの注意点について解説します。
1.更新するのに手間がかかる
Googleスプレッドシートを利用する際の注意点の一つとして、更新するのに手間がかかることが挙げられます。作業予定に遅れが出た場合は、未完了タスクを他のメンバーに振り分けなければなりません。
そのときに、新規で割り当てる担当者も期限が近づいているタスクを抱えている可能性もあるため、状況に合わせて開始日や終了日を変更する必要が出てきます。担当者ごとにタスクを色分けしていた場合、そういった細々とした変更も考えられるため、どうしても更新に手間がかかってしまうことになります。イレギュラーな更新が頻発するような現場では、更新が簡単に行えるようなスプレッドシートよりも高機能な管理ツールへの切り替えをおすすめします。
2.タスク漏れを見逃す可能性がある
Googleスプレッドシートには、タスクの内容変更を知らせる通知はあってもタスク終了日を通知してくれる機能はありません。そのため、他に気になる問題が生じたなどの理由で確認を怠ってしまうと「タスク漏れに気づかない」といった事態に陥ってしまいます。
タスク漏れが起きると、プロジェクト全体に悪影響を及ぼす可能性があるため、絶対に避けなくてはなりません。
もし、そのような不安を感じている場合はタスク期日にアラート通知してくれるプロジェクト管理ツールの導入も視野に入れたほうがよいでしょう。
3.情報漏洩への不安がある
プロジェクト管理では、社外秘の機密情報を扱うことも多い傾向です。Googleスプレッドシートは、情報共有という点では優れていますが、情報漏洩というセキュリティの面ではリスクがあることは注意しなければなりません。
このリスクを避けるには、閲覧や編集の権限を細かく設定することが求められます。機密情報が記載されているスプレッドシートは、特に注意して「保護機能」を活用し、ユーザーによる閲覧や編集に制限を加えておくことが必要です。
Google スプレッドシートは無料で使用ができる便利なツールです。特にテレワークが進んだ昨今では、オンラインでのリアルタイム編集が可能である点は非常に魅力的です。しかし、その便利さはクラウドにデータが保存されているためであり、設定を誤ると情報漏洩のリスクと常に隣り合わせであることは頭に入れておかねばなりません。
4.スマートフォンで操作しにくい
Googleスプレッドシートは、スマートフォンでの閲覧や編集がしにくい点がデメリットです。専用アプリはありますが、PCでの利用に最適化されているため、どうしてもスマートフォンの画面では見にくい傾向があります。
こうした問題にストレスを感じている場合は、PC操作だけでなくスマートフォンにも対応しているプロジェクト収支管理システム「プロカン」がおすすめです。プロカンは、オフィス外でも利用できるため、導入することによりプロジェクト管理のストレスを解消させることが期待できるでしょう。
より進んだ仕事管理ができる高機能ツール「プロカン」
Googleスプレッドシートでガントチャートを作成する場合、無料で利用できるアドオンやテンプレートが豊富にあります。また、プロジェクト管理をするための優れた機能も多い傾向です。
しかし、更新の手間やタスク漏れを見逃してしまうリスク、スマートフォンで見にくいなどのデメリットがあります。こうしたデメリットを解消し、より進んだ仕事管理を行うには、高機能なツールが実装されたサービスの導入が必要です。
プロジェクト収支管理システムの「プロカン」は、圧倒的な見やすさと使いやすさを重視したUIで、サポートも手厚く、間接業務の自動化による業務効率化を実現しています。インボイス電子帳簿保存法にも対応しており、実際にデモンストレーションも可能です。ガントチャート作成でさらなる業務効率化を検討している場合は、ぜひ一度お気軽にお問い合わせください。