業務プロセスの可視化がもたらすメリットとその実践方法を徹底解説

業務プロセス可視化の必要性を感じている企業や担当者の方は多いでしょう。業務プロセスの可視化は、業務効率やパフォーマンスの向上に欠かせないだけでなく、社員を適切に評価するのにも役立ちます。しかし、やり方がわからなかったり、可視化の作業を負担に感じたりして、なかなか取り組みをはじめられないケースも多いのではないでしょうか。

本記事では業務プロセス可視化のメリットや実践方法を徹底解説します。可視化を実現する具体的なステップや注意点も紹介するので、可視化作業のイメージが持てます。可視化に役立つツールも紹介するので、可視化の作業を負担に感じている方も参考にしてみてください。

業務プロセスの可視化とは

業務プロセスの可視化とは、業務がどのようなプロセスを辿り完了するかを、文章や図などを使って目で見てわかりやすいかたちにすることです。

業務プロセスの可視化は、業務の効率化につながり、業務の属人化を防げるなどのメリットがあります。業務プロセスを適切に可視化すれば、最終的には根本的な業務改善への手掛かりになるでしょう。

ここからは業務プロセス可視化の目的とメリットについて詳しく解説します。

業務プロセスの可視化をする目的

業務プロセスを可視化する最終的な目的は企業によって異なります。企業によっては、労働時間・残業時間を減らしたいのかもしれませんし、無駄を省くことによってパフォーマンスを向上させたいのかもしれません。

しかし、いずれにせよ、「さまざまな業務を誰がどのように遂行するのか、遂行している本人以外の社員も把握できるようにしたい」という大きな目的は共通しているはずです。

そもそも業務プロセスは遂行する本人以外の社員にはわかりにくいものです。業務を続けているうちに本人だけが知っているやり方やノウハウが蓄積していき、業務プロセスがブラックボックス化してしまいます。

すると、社内の業務プロセスを見通せる人が誰もいないという状況になり、業務改善も難しくなります。単にツールやシステムを導入するだけでは終わらない根本的な業務改善をするなら、業務課題を見つけ、改善策を講じる一歩目として、業務プロセスの可視化が重要なのです。

業務プロセスを可視化するメリット

業務プロセスを可視化するメリットは細かいものを含めると多岐に渡ります。ここでは業務プロセス可視化のメリットを大きく3つに分けて紹介します。

業務の効率化を図れる

業務プロセスの可視化をすると、業務上の非効率なプロセスが浮き彫りになり、改善策を考えやすくなります。やり慣れた手順や慣習化している作業は、普段無駄に気付きにくいものですが、文章や図にして目に見えるようにすることで、冷静に再検討できます。

また、業務プロセスが誰にも見える状態になっていることで、社員の中で共通認識を持つことができ、社員同士の連携も取りやすくなります。

業務を遂行している途中で問題発生したときにもどこで業務がストップしているのかが一目瞭然です。複雑な業務であれば可視化したものを抜け漏れ防止のチェックシートとしても使えます。

業務の属人化を防げる

業務プロセスの可視化をすれば、業務の属人化を防ぐことで「誰かにしかできない業務」が発生しにくくなります。業務の進め方が特定の誰かにしかわからない状況だと、その社員の病欠や急な退職により業務がストップしかねません。

しかし、業務プロセスが誰にでもわかる状態になっていれば、他の社員でも対応しやすくなります。また、新入社員が仕事を覚えやすい環境も作れるでしょう。

また、業務のクオリティを均一にする意味でも、属人化を防ぐことは重要です。会社としてクオリティを統一したい業務では、各々の勝手なやり方を防ぐ業務プロセスの可視化が役立ちます。

部下の評価に役立てられる

業務プロセスを可視化すると、部下の評価もしやすくなります。可視化によって、それぞれの業務プロセスにかかる時間がおおよそわかるからです。標準的な所要時間がわかれば、どの部下が能率よく仕事をしているのかがより明確になり、客観的な評価にもつながります。

また、工数管理もしやすく、部下に割り振った業務がどのくらいで完了するかの見積もりがしやすくなります。業務プロセスの可視化によってマネジメントをする立場にいる社員が助かる場面は多いでしょう。

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業務プロセスの可視化でメリットを受けやすい業種・職種

業務プロセスの可視化は、「手順が決まった業務」や「品質のばらつきが出るのが望ましくない業務」がある業種・職種との相性が良好です。

たとえば、審査が多い金融系や、証明書などの交付が多い行政は、ある程度手順が決まった業務や標準化が求められる業務もあるので、業務プロセス可視化の恩恵を受けやすいといえます。

職種では、営業や人事などもメリットを享受しやすいでしょう。営業はクライアントとの契約周りの業務を可視化することで、取引を始めるプロセスを把握しやすくなります。また、可視化された他の部署の業務プロセスを参照することで、納品にかかる時間や進捗をクライアントに伝えやすくなります。

人事は採用や評価のプロセスを可視化することで公平性や透明性を保てます。また、新卒内定者への対応などの業務プロセスを可視化すれば、担当者によるばらつきなく、内定者に必要な手続きなどを案内できます。

ここに挙げた業種や職種以外でも手順が決まった業務がある業種・職種なら、業務プロセス可視化を検討する価値は大いにあります。

業務プロセス可視化の流れ

業務プロセスを可視化するステップは大きく分けて3つあります。以下、それぞれのステップを具体的に解説します。

業務の洗い出しを行う

まず部署内で業務の洗い出しを行いましょう。作業内容や所要時間、連携する部署などを明確にしつつ、現状の問題や課題をまとめる作業を行います。
基本的にはミーティングを開いて、それぞれの社員の日頃の実感や意見を幅広く募るとよりよいアウトプットにつながります。大きな部署でミーティングを開くのが適当ではない場合は現場担当者や責任者にヒアリングするなどの方法もあります。

フローチャートやマニュアルにする

次に洗い出した業務をフローチャートやマニュアルにまとめます。フローチャートやマニュアルは将来的に改訂が必要になるケースが多いので、編集しやすいよう作成しましょう。

しかし、そうした可視化作業は日頃の業務と並行して行うには負担が重い作業なので、ツールの力を借りながら効率的に作業を進めるのも検討してみてください。

部署や社内に共有する

最後に業務に関係する社員に可視化した業務プロセスを共有しましょう。社員それぞれが見やすい場所にファイルなどを格納しておくほか、できれば業務プロセスを説明する機会も設けましょう。

忙しい社員は自分の業務プロセスしか確認しないかもしれませんが、業務プロセス可視化の真の価値は「自分の担当以外の業務プロセスがわかるようになる」ところにあるからです。

時間はかかるかもしれませんが、それぞれの社員にしっかりと浸透させていきましょう。

業務プロセス可視化をアシストするツール

業務プロセス可視化をアシストするツールも複数開発されています。ここからは業務プロセスの可視化に役立つ主なツールとそれぞれの特徴や機能などを紹介します。

【Asana】ワークフローの構築も簡単にできる多機能ツール

Asanaは非常に多機能なプロジェクト・タスク管理ツールです。ワークフロー構築機能やタイムトラッキング機能など、業務プロセス可視化に必要な機能が充実しています。もちろん、普段のプロジェクト・タスク管理にも便利な機能が揃っています。

直感的に操作できる仕様なので、社員が使い慣れるのにあまり時間もかかりません。機能が充実した有料プランの費用は1人あたり月額1200円からです。

個人単位でも使いやすいツールですが、真価を発揮するのは複数人がプロジェクトを進行させるような業種での利用でしょう。

【業務改革クラウド】データ分析で業務を可視化する特化型ツール

業務改革クラウドは、データ分析によって業務プロセスや工数を可視化するツールです。自動で業務のプロセスや各業務の工数を表示する機能があるので、業務の全体像について見通しが立っていなくても可視化を始められます。

料金は月額5万円からということになっていますが、詳細は問い合わせる必要があります。業務プロセスの可視化にあたって手間を省きたい企業や複雑な業務プロセスを持つ業種におすすめのツールです。

【Trello】機能は限られているがリーズナブル

Trelloはどちらかといえばプロジェクトやタスクの管理に向いたツールですが、リーズナブルに導入できます。カンバン形式でタスクを作成・表示できる機能があるので、使い方によっては業務プロセスの可視化につながります。

シンプルな仕様なので、社員が使い慣れるのも早いでしょう。料金は1ユーザーあたり月額5ドルからです。小規模の会社や部署でなるべく価格を抑えてツールを導入したい場合にはおすすめです。

導入費用

Asanaは初期費用が無料で、月額利用料はユーザー1人あたり1200円からです。しかし、タイムトラッキング機能で、どの業務にどのくらい時間がかかっているか把握したい場合などは、1人あたり2700円の「ビジネスプラン」を選択した方がよいでしょう。

支払方法はクレジットカードが使えるほか、ユーザー数が21人以上で年間プランを選択している場合には銀行振り込みや小切手での支払いもできます。30日間のお試し期間もあるので、まずは自社に合うか試してみるのもおすすめです。

業務改革クラウドは料金面についてほとんど情報を公開しておらず、詳細は問い合わせる必要があります。トライアル期間が30日間あるので、まず使ってみてから導入を検討してもよいでしょう。

Trelloは初期費用が無料で、月額利用料はユーザー1人あたり5ドルからです。タイムラインやカレンダーのかたちでプロジェクトを見たいなら、月額10ドルの「プレミアムプラン」を利用しましょう。

支払いはクレジットカードのみで、プレミアムプランは14日間の無料トライアルが可能です。

業務プロセス可視化システム・ツールの導入に使える補助金

ツールを導入するとなると費用が気になりますが、補助金を利用すれば、負担金額は減ります。

たとえば政府運営の「IT導入補助金」では、中小企業・小規模事業者を対象として「業務のデジタル化を目的としたソフトウェアやシステムの導入」に2分の1以内の補助率で補助を行っています。

また、地方自治体でもITツールの導入に補助金を出している場合があります。補助金の情報は各地域の商工会議所の公式サイトによくまとまっているので、確認してみてください。

【まとめ】業務プロセスを可視化して業務改善を始めましょう

業務プロセスを可視化すれば、業務の効率化を図れるほか、業務の属人化を防ぐこともできます。また、マネジメントや評価がしやすくなるのも見逃せないメリットです。

業務プロセスの可視化は、業務改善を行う第一歩です。特にDXや業務の自動化を考える企業は多いですが、業務がどのように進行しているかわからない状態で、むやみにシステムなどを導入しても失敗してしまいます。まずは社内の業務プロセスを俯瞰できるようにした上で、業務改善に取り組みましょう。

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